朝倉未来の階級とは?フェザー級での強さと減量の秘密

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「路上の伝説」として知られ、日本の格闘技界を牽引し続けてきた朝倉未来選手。YouTuberや実業家としての顔も持ちますが、やはり本職である格闘家としての姿に魅了されるファンは後を絶ちません。

そんな朝倉未来選手の試合を見る中で、ふと疑問に思ったことはないでしょうか。「朝倉未来の階級は正確には何キロなの?」「普段の体重からどれくらい減量しているの?」といった疑問です。格闘技において、体重と階級は勝敗を分ける非常に重要な要素です。

この記事では、朝倉未来選手の階級や体格データ、そして過酷な減量事情について、初心者の方にもわかりやすく徹底的に解説します。彼がなぜフェザー級を選び続けているのか、その理由を知れば、試合観戦がもっと面白くなるはずです。

朝倉未来の階級はフェザー級!適正体重と身体データ

まず最初に、朝倉未来選手が主戦場としている「階級」についての基本データを見ていきましょう。格闘技には様々な階級が存在しますが、彼が最も輝き、実績を残してきたのが「フェザー級」です。ここでは、具体的な数値とともに、彼の肉体的な特徴を深掘りしていきます。

RIZINフェザー級のリミットは66.0kg

朝倉未来選手が参戦している日本の格闘技団体「RIZIN(ライジン)」において、フェザー級の規定体重(リミット)は66.0kgに設定されています。これは、試合前日の計量時点で、装備品(下着など)を含めた体重が66.0kg以下でなければならないというルールです。

世界最大の格闘技団体であるアメリカの「UFC」では、フェザー級のリミットは145ポンド(約65.8kg)です。RIZINはジャスト66.0kgなので、世界基準とほぼ同じですが、わずかに200gほどの違いがあります。このわずかな差が、限界まで減量する選手にとっては精神的な余裕に繋がることもあります。

【RIZINフェザー級の定義】

・リミット体重:66.0kg以下
・計量タイミング:試合の前日
・特徴:日本人選手層が厚く、「黄金の階級」とも呼ばれる激戦区

朝倉未来選手はこの66.0kgという階級において、トップ戦線で戦い続けてきました。60kg前半のバンタム級では減量が厳しすぎ、70kg台のライト級では海外の大型選手にパワー負けする可能性があるため、フェザー級が彼のベストな階級であるとされています。

身長177cm・リーチ174cmの体格分析

次に、朝倉未来選手の身長とリーチ(両腕を広げた長さ)について詳しく見ていきましょう。公式データによると、彼の身長は177cmです。これは日本の一般成人男性の平均身長(約171cm)と比べると高く、フェザー級の格闘家としても「やや高め」の部類に入ります。

身長が高いことは、打撃の攻防において有利に働きます。相手を見下ろす角度でパンチを打てるため、距離感を掴みやすく、相手の攻撃をバックステップでかわしやすいというメリットがあります。朝倉未来選手の得意とする「カウンター戦法」は、この身長と優れた動体視力によって支えられています。

リーチ(Reach)とは?
両腕を左右に水平に広げた時の、左手の指先から右手の指先までの長さのこと。一般的に、リーチが長いほど遠くから攻撃できるため有利とされます。

一方で、リーチは174cmと公表されています。一般的に、人間のリーチは身長とほぼ同じ長さになると言われていますが、朝倉選手の場合は身長よりもリーチが数センチ短くなっています。世界トップレベルの外国人選手の中には、身長と同じかそれ以上にリーチが長い選手も多いため、数値上は「リーチが短い」とされることもあります。

しかし、朝倉未来選手には数値には表れない「強み」があります。それは、骨格の太さと体幹の強さです。ファンの間でも「骨が太い」とよく言われており、相撲や喧嘩で培った足腰の強さが、リーチの差を埋めるほどの破壊力を生み出しています。リーチが短くても、踏み込みの速さと当て勘の良さで相手をKOすることができるのです。

普段の体重は?驚異の10kg減量と水抜き

試合当日は66.0kgの朝倉未来選手ですが、普段からこの体重をキープしているわけではありません。オフ(試合がない期間)の体重は、時期にもよりますが、およそ76kg〜80kg近くあると言われています。

つまり、試合が決まると、そこから約10kg〜14kgもの減量を行うことになります。これは簡単なことではありません。脂肪を落とすダイエットとは異なり、格闘家の減量は「水抜き」という最終工程を含みます。

水抜き(みずぬき)とは:
体内の水分を極限まで排出して、一時的に体重を落とす方法。サウナやお風呂、厚着での運動などで汗を出し切ります。計量をパスした直後に水分補給を行い、体重をリカバリー(回復)させて試合に臨みます。

朝倉選手は、食事制限と激しいトレーニングで体脂肪を削ぎ落とした後、計量直前に数キロ分の水分を抜いて66.0kgに合わせます。そして計量後のリカバリーで、当日の試合時には70kg台中盤まで体重を戻していることが多いようです。

この「リカバリー能力」も強さの秘訣です。66kg級の選手として登録しながら、実際の試合では70kg以上のフィジカルで戦うことができるため、相手に重いパンチを浴びせることが可能になります。しかし、この急激な体重の増減は内臓への負担も大きく、徹底した管理が必要とされます。

過去に経験した他の階級と対戦相手による変更

基本的にはフェザー級(66.0kg)を主戦場とする朝倉未来選手ですが、対戦相手やルールの違いによって、異なる体重契約で試合を行ったこともあります。これらの試合は、彼のキャリアの中でも特に大きな注目を集めました。

フロイド・メイウェザー戦(フリーウエイト)

2022年9月に行われた「超RIZIN」でのフロイド・メイウェザー戦は、全世界が注目する一戦でした。この試合はボクシングルールに準じたエキシビションマッチでしたが、体重に関しては「フリーウエイト(契約体重なし)」という、朝倉選手にとって有利な条件で行われました。

当初は契約体重の設定も議論されましたが、最終的には体重制限なしとなりました。メイウェザーは元々軽い階級の選手であり、試合時は70kg前後だったと推測されます。一方の朝倉選手は減量をする必要がなかったため、普段に近い76kg〜79kg程度の体重でリングに上がったと考えられます。

この体重差は、パンチの重さに直結します。朝倉選手は「一発当たれば倒せる」という自信を持って挑みましたが、メイウェザーの神がかり的なディフェンス技術とスピードの前に、体重差のアドバンテージを活かしきることはできませんでした。しかし、この試合を通じて世界最高峰のスピードを体感したことは、その後のキャリアに大きな影響を与えました。

YA-MAN戦(70kg契約・オープンフィンガーグローブ)

2023年11月に行われたYA-MAN(ヤーマン)選手との試合は、朝倉未来選手自身がプロデュースするイベント「FIGHT CLUB」で開催されました。この試合はMMA(総合格闘技)ではなく、立ち技格闘技(キックボクシングルール)で行われましたが、使用されたのは小さなオープンフィンガーグローブでした。

この時の契約体重は-70kg(70kg以下)でした。YA-MAN選手は普段RISEなどの立ち技団体で65kg級を主戦場としていますが、この試合では朝倉選手の適正に近い体重、あるいは減量幅を少し緩めた体重での合意となりました。

朝倉選手にとって70kg契約は、66kgまで落とす通常の試合に比べて減量がかなり楽になります。「減量が楽=コンディションが良い」はずでしたが、結果は衝撃の1ラウンドKO負け。これは格闘技の難しさを示す一例となりました。

「減量が楽だからといって、必ずしも強くなるとは限らない」という教訓です。極限の減量による緊張感や、ハングリー精神が欠けていたのではないか、と試合後に分析されることもありました。また、慣れないキックボクシングルールでの距離感の違いも影響したと言えるでしょう。

なぜライト級(71.0kg)へ転向しないのか?

朝倉未来選手は普段の体重が80kg近くあるため、「減量がきついなら、一つ上のライト級(71.0kg)に上げた方がいいのではないか?」という声がファンや関係者から上がることがあります。実際、過去にはルイス・グスタボ戦(68kg契約)や矢地祐介戦(70kg契約)など、ライト級に近い体重で勝利した実績もあります。

しかし、彼が本格的にライト級へ転向しないのには明確な理由があります。それは「世界レベルでのフィジカル差」です。

ライト級の世界トップ選手は、普段の体重が90kg近くある選手も珍しくありません。彼らはそこから過酷な水抜きをして71kgに落とし、当日は80kg〜85kgまでリカバリーしてきます。骨格の大きさ、筋肉量、パワーそのものがフェザー級とは段違いなのです。

ライト級の怪物たち
RIZINライト級には、ホベルト・サトシ・ソウザやトフィック・ムサエフといった、圧倒的なフィジカルとパワーを持つ外国人選手がひしめいています。

朝倉選手は「自分はライト級の中では小さい方になる」と自覚しており、スピードとパワーのバランスが最も取れるのがフェザー級であると判断しています。パワー負けせずに自分の技術を活かせるギリギリのラインが、現在の66.0kgなのです。

RIZINフェザー級「黄金の階級」での立ち位置

現在、日本の格闘技界で最も盛り上がりを見せ、選手層が厚いと言われているのがRIZINフェザー級です。この階級が「黄金の階級」と呼ばれるようになった中心には、間違いなく朝倉未来選手がいました。

ライバルたちとの比較(クレベル、斎藤裕、平本蓮)

フェザー級(66.0kg)という同じ枠組みの中で戦っていても、選手のタイプや体格は様々です。朝倉未来選手のライバルたちと比較してみましょう。

■ クレベル・コイケ選手
元KSW王者であり、寝技のスペシャリスト。身長178cmと朝倉選手とほぼ同じですが、特筆すべきは手足の長さです。彼の長い手足は、打撃のリーチだけでなく、寝技で相手を絡め取る際に強力な武器となります。朝倉選手が失神一本負けを喫したのも、この長い手足による三角絞めでした。

■ 斎藤裕選手
初代RIZINフェザー級王者。身長173cmと朝倉選手よりやや小柄ですが、総合力が非常に高く、スタミナと精神力がずば抜けています。体格差を埋める技術と戦略で、朝倉選手との初戦では判定勝利を収めました。リベンジマッチでは朝倉選手が勝利しましたが、常に拮抗した実力関係にあります。

■ 平本蓮選手
K-1出身のストライカー。身長173cm。彼もまた、フェザー級にこだわりを持っています。普段の体重は朝倉選手ほど重くはないと言われていますが、打撃の技術は一級品です。「THE MATCH 2」での再戦が決定した際も、やはりこの66kgという階級が舞台となります。

こうして見ると、RIZINフェザー級は「身長170cm〜180cm」の、日本人男性として平均より少し大きめの選手たちが集まる階級であることがわかります。このサイズ感は、スピードとパワーの両方が高いレベルで共存しており、KO決着が生まれやすいスリリングな階級なのです。

海外(UFC)フェザー級(65.8kg)との違い

日本のRIZINでトップに君臨する朝倉未来選手ですが、もし世界最高峰のUFCに挑戦した場合、フェザー級で通用するのでしょうか。

UFCのフェザー級(65.8kg)には、イリア・トプリアやマックス・ホロウェイといった「怪物」たちがいます。特にホロウェイ選手のように身長180cmを超え、なおかつ無尽蔵のスタミナで動き続ける選手もいれば、ヴォルカノフスキー選手のように身長は168cmと低いものの、ラグビーで培ったフィジカルで巨漢をねじ伏せるタイプもいます。

朝倉選手がかつて語った分析では、「UFCのトップ層はレスリング力が異常に高い」という点が挙げられます。体重区分はほぼ同じでも、バックボーンとなる競技レベルの高さや、リカバリー後のフィジカルの強度が一段階上にあるのが現実です。朝倉選手自身もそれを理解しており、安易な海外挑戦ではなく、日本でRIZINを盛り上げる道を選んできた経緯があります。

階級が生み出すパワーとスピードのバランス

格闘技において「階級」とは、単なる体重の区分けではありません。それは「パワーとスピードのトレードオフ」の選択でもあります。

朝倉未来選手がフェザー級で強い理由は、彼のファイトスタイルである「カウンター」に必要な反応速度(スピード)と、相手を一撃で倒す破壊力(パワー)が、66kgという体重で最も高いパフォーマンスを発揮できるからです。

もし階級を下げてバンタム級(61.0kg)に行けば、スピードは相対的に上がるかもしれませんが、過度な減量で筋肉量が落ち、一発の威力が下がる恐れがあります。逆に階級を上げれば、パワーは増しますが、相手のスピードについていけなくなるリスクがあります。

朝倉選手のKOシーンを見返すと、相手が踏み込んできた瞬間に合わせるカウンターフックや、強烈なミドルキックが光ります。これらは、相手の動きを見切る冷静な目と、それを実行に移す肉体のキレがあってこそ。フェザー級は、彼の才能を最大限に引き出す「神に選ばれた階級」と言えるかもしれません。

格闘技における「階級」の重要性と減量のリスク

ここからは少し視点を広げて、格闘技全般における「階級」の意味と、それに伴う「減量」のリスクについて解説します。なぜ選手たちはあそこまで苦しい思いをして体重を落とすのでしょうか。

階級を上げることのメリット・デメリット

選手が階級を変更することは、キャリアにおける大きな決断です。

【階級を上げる(重くする)場合】

  • メリット: 減量の苦しみが減り、練習に集中できる。筋肉量を増やせるため、パンチ力や耐久力が上がる。スタミナ切れを起こしにくくなる。
  • デメリット: 対戦相手の体格が大きくなり、圧力負けするリスクが増える。相対的にスピードが遅く感じることがある。

朝倉未来選手の場合、練習中の動きは体重が重い時の方がキレているという証言もありますが、試合となると「自分より大きな相手」と戦うリスクを非常に警戒しています。

過酷な「水抜き」が脳と体に与える影響

先ほど触れた「水抜き」ですが、これは非常に危険な行為でもあります。人間の体は60%以上が水分でできており、それを短時間で強制的に排出すると、血液がドロドロになり、脳や内臓に深刻なダメージを与える可能性があります。

特に格闘技で危険なのは、「打たれ強さ(脳の耐久力)」の低下です。脳は髄液という液体の中に浮いて守られていますが、水抜きで脱水状態になると、脳を守るクッション機能が低下します。

計量後に水分補給をしてリカバリーしますが、脳の水分が完全に元通りになるには時間がかかると言われています。過度な水抜きをした選手が、試合で軽いパンチをもらっただけで倒れてしまうことがあるのは、このためです。朝倉未来選手も30代に入り、減量のダメージが抜けにくくなっていることを示唆する発言もしており、年齢とともに階級との付き合い方は難しくなっていきます。

朝倉未来が語る「適正階級」の哲学

朝倉未来選手は自身のYouTubeチャンネルなどで、度々「適正階級」について語っています。彼の考え方の根底にあるのは、「自分のパフォーマンスが100%出せるかどうか」です。

「無理して階級を下げて、ゲソゲソになってリングに上がるなら、一つ上の階級で元気な状態で戦った方が強い場合もある」という主旨の発言をしています。しかし同時に、「勝てる確率が最も高い場所を選ぶ」というクレバーな戦略家でもあります。

彼にとってフェザー級は、今のところ「努力して落とせる限界」と「強さを発揮できる肉体」が交差するポイントなのです。引退を口にしたり、復帰を宣言したりと揺れ動く彼のキャリアですが、どの階級を選ぶかは、彼自身の「戦うモチベーション」と深くリンクしています。

BreakingDown(ブレイキングダウン)の階級設定

最後に、朝倉未来選手がCEO(最高経営責任者)を務める1分間最強を決める格闘技イベント「BreakingDown(ブレイキングダウン)」における階級事情についても触れておきましょう。

「1分間最強」を決めるための独自の体重区分

BreakingDownは、プロの試合とは異なり「1分間」という超短期決戦です。スタミナ配分を考える必要がないため、通常の格闘技理論とは異なる階級の考え方が存在します。

基本的には、以下のような階級分けが行われますが、プロほど厳密ではありません。

【BreakingDownの主な階級】

・バンタム級(61kg以下)
・フェザー級(66kg以下)
・ライト級(71kg以下)
・ウェルター級(77kg以下)
・ミドル級(84kg以下)
・無差別級(ヘビー級)

特徴的なのは、オーディションで言い争いになった相手とその場で試合が決まることが多いため、数キロの体重差があっても「やっちゃおう」というノリで試合が成立することがある点です。

CEOとして見るアマチュア選手の階級管理

朝倉未来CEOは、参加者たちの安全管理には気を配っていますが、同時に「喧嘩」の延長線上にあるエンターテインメントとして、多少の体重差よりもキャラクター同士の因縁を優先するマッチメイクを行う才能があります。

しかし、あまりにも体重差があるマッチメイク(例:60kgの選手 vs 100kgの選手)は、安全面のリスクが高すぎるため基本的には行われません(「2対1」などの変則ルールを除く)。彼はプロの経験から、体重差がどれほど危険かを知り尽くしているため、無謀なカードは避ける傾向にあります。

アマチュア選手にとっての体重管理の難しさ

BreakingDownに出場する選手の多くは、普段別の仕事をしているアマチュアや、元不良たちです。彼らはプロのような減量ノウハウを持っていないことが多く、計量オーバーなどのトラブルもしばしば発生します。

朝倉CEOはそうした選手たちに対し、「契約を守ることは社会人としての最低限のルール」と厳しく指導することもあります。プロのリングで66.0kgを厳守し続けてきた彼だからこそ、体重管理の甘さには厳しい目を向けるのです。

まとめ

ここまで、朝倉未来選手の階級であるフェザー級について、身体データや過去の試合、そして減量のリスクまで詳しく解説してきました。最後に記事の要点を振り返ります。

【朝倉未来の階級まとめ】

・適正階級はRIZINフェザー級(66.0kg)
・身長177cmは階級内でやや高めだが、リーチは174cmと平均的。
・骨格の太さと体幹の強さが武器。
・普段の体重は76kg〜80kgあり、試合ごとに約10kg以上の過酷な減量を行っている。
・ライト級への転向は、世界レベルのフィジカル差を考慮して否定的。
・階級選びは「スピードとパワーのバランス」を最優先している。

朝倉未来選手がリングの上で見せる一瞬の輝きは、こうした緻密な計算と、限界までの減量努力の上に成り立っています。「たかが体重、されど体重」。その数字の裏にあるドラマを知ることで、次回の試合観戦はさらに熱いものになるでしょう。

彼がこれからどのような道を歩むにせよ、その階級選択には常に「勝利への執念」が隠されていることは間違いありません。

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