関節技一覧!仕組みからプロレス・格闘技の必殺技までわかりやすく紹介

知識・ルール・用語集

格闘技の試合で、一瞬にして相手を制圧し、逆転勝利を呼び込む「関節技」。柔道やブラジリアン柔術、プロレス、総合格闘技(MMA)など、さまざまな競技で使われるこれらの技は、力だけでなく、人体の構造を巧みに利用した知的なテクニックです。

なぜ小さい選手が大きい選手を倒せるのか、その仕組みを知ると観戦がもっと楽しくなります。この記事では、基本的な技からプロレスの必殺技まで、代表的な関節技を一覧でわかりやすく解説します。

関節技一覧を見る前に知っておきたい基礎知識

関節技のリストを見ていく前に、まずは「なぜ技がかかるのか」「競技によってどう違うのか」という基本を押さえておきましょう。これを知っていると、技の凄さがより深く理解できます。

関節技が決まる仕組み「てこの原理」

関節技の基本原理は、小学校の理科でも習う「てこの原理」です。小さな力で大きな物を動かすあの仕組みが、格闘技に応用されています。

技をかける側は、以下の3つの点を意識して相手の体をコントロールします。

・支点(してん):技をかける際の支えとなる部分(例:自分の骨盤や太もも)

・力点(りきてん):自分が力を加える部分(例:両手で相手の手首を引く)

・作用点(さようてん):相手の関節に力がかかる部分(例:相手の肘)

この原理を使うことで、非力な人でも体重をうまく利用し、相手の強靭な腕や足を限界以上の角度へ曲げたり、伸ばしたりすることが可能になります。人間の関節は、本来曲がる方向とは逆に曲げられたり、可動域を超えて伸ばされたりすることには耐えられません。これが関節技の正体です。

「極まる(きまる)」とはどういう状態?

実況解説などでよく聞く「技が極まった!」という表現。これは、相手の関節が完全に固定され、これ以上動かすと「折れる」または「靭帯が切れる」という限界の状態を指します。

この状態になると、かけられた側は激痛を感じ、身動きが取れなくなります。競技では、大きな怪我を防ぐために、かけられた側が「参った(タップアウト)」をして勝敗が決まります。タップが遅れれば骨折や脱臼などの重傷を負うリスクがあるため、審判が危険と判断して試合を止めることもあります。

柔道・柔術・プロレスでのルールの違い

関節技と一口に言っても、競技によって使える技の範囲が異なります。

・柔道:
原則として「肘(ひじ)」への関節技のみが認められています。足首や膝、首などへの関節技は禁止されており、立ち技からの飛びつき関節技なども危険なため反則となります。

・ブラジリアン柔術(BJJ):
「寝技のチェス」とも呼ばれ、関節技のバリエーションが非常に豊富です。帯の色(実力)や年齢によって制限はありますが、肘だけでなく、手首、足首、膝など全身の関節への攻撃が多くのカテゴリーで認められています。

・プロレス:
エンターテインメントの側面も強いため、相手にダメージを与えるだけでなく「見栄え」や「観客へのアピール」も重要視されます。反則カウント内であればロープを使った攻撃も許容されるなど、独自の美学に基づいた派手な技が多く存在します。

【上半身】腕や手首を攻める代表的な関節技一覧

ここからは実際の技を紹介していきます。まずは、柔道や総合格闘技で最もよく見られる、腕や肩、手首を狙った上半身の関節技です。

十字固め(腕ひしぎ十字固め)

関節技の代名詞とも言える、最も有名な技です。英語では「アームバー(Armbar)」と呼ばれます。

仰向けになった相手の片腕を自分の両脚で挟み込み、自分の下腹部を「支点」にして、相手の肘を逆方向に反らせます。てこの原理が非常に働きやすく、正しく入れば脱出は困難です。柔道、MMA、プロレスと全ての格闘技で使用される基本かつ奥義的な技です。

ポイント:親指の向きが重要です。相手の親指が天井を向いているとき、肘関節は最も伸びやすい状態になります。

腕がらみ(キムラロック・アメリカーナ)

相手の腕をL字やV字に曲げ、雑巾を絞るように捻り上げる技です。肘関節と肩関節に強烈なダメージを与えます。

海外では、腕の形や捻る方向によって呼び名が変わります。

  • キムラロック(Kimura):相手の手首を背中側に回すように捻る技。伝説の柔道家・木村政彦が、ブラジルの英雄エリオ・グレイシーをこの技で破ったことから名付けられました。
  • アメリカーナ(Americana):相手の手のひらを天井に向けるように捻り上げる技。

どちらも強力な回転力が加わるため、一度極まるとタップするまでの猶予が短く、非常に危険な技です。

脇固め(わきがため)

うつ伏せや横向きになった相手の片腕を、自分の脇に挟み込んで固定し、体重をかけて肘を逆方向に極める技です。プロレスでは「フジワラ・アームバー」としても知られ、関節技の達人・藤原喜明が得意としたことで有名です。

立ち技の状態から相手の腕を巻き込んで倒れ込みながら極めることもできますが、体重が一気にかかり大怪我につながる恐れがあるため、柔道では立ち姿勢から直接仕掛けることは禁止されています。

手首固め(リストロック)

その名の通り、手首の関節を本来曲がらない方向へ折り曲げたり、捻ったりする技です。合気道や護身術でよく見られますが、ブラジリアン柔術やMMAでも使用されます。

手首は非常に繊細な関節であるため、少しの力でも激痛が走ります。他の技をかけられている最中に、不意打ちのように手首を攻められることもあり、地味ながらも厄介なテクニックです。

【下半身】足や膝を破壊する強力な関節技一覧

次は足への関節技です。柔道では禁止されていますが、サンボやブラジリアン柔術、MMAでは一発逆転の武器として恐れられています。

アキレス腱固め(アンクルホールド)

相手の足首を自分の脇の下に挟み込み、体を反らすことでアキレス腱を伸ばし、圧迫する技です。

見た目はシンプルですが、極まるとアキレス腱が切れそうな激痛が走ります。また、挟む位置を調整することで、アキレス腱だけでなく足首の骨自体を折るようなプレッシャーをかけることも可能です。

膝十字固め(ニーバー)

腕の「十字固め」の足バージョンです。相手の太ももとふくらはぎを自分の両脚や体全体で挟んで固定し、膝関節を逆方向(反対側)へ反らせます。

膝は曲げる方向には強いですが、伸ばす方向への過度な負荷には非常に弱いです。ハムストリングスや膝の靭帯に深刻なダメージを与えるため、競技レベルによっては禁止されていることもあります。

ヒールホールド

「足関節技の王様」とも呼ばれる、極めて危険度の高い技です。相手の踵(かかと)を固定し、つま先を脇に抱えて、足を雑巾のように捻り上げます。

この技の恐ろしい点は、痛みを感じたときにはすでに膝の靭帯が断裂していることが多いという点です。あまりにも危険なため、ブラジリアン柔術の多くのカテゴリーや一部のMMA団体では使用が禁止されています。練習でも細心の注意が必要な技です。

【背骨・首】プロレスで有名な派手な関節技一覧

ここでは、プロレスの試合でよく見かける、背骨や首を攻める技を紹介します。これらは「ストレッチ技(締め技)」とも呼ばれ、見た目のインパクトと持続的な痛みが特徴です。

コブラツイスト

プロレスといえばこの技を思い浮かべる人も多いでしょう。相手の背後から片足をフックし、上半身を捻り上げることで、腹部、脇腹、背骨を強烈にストレッチします。

アントニオ猪木の得意技として日本で有名になりました。実戦的な格闘技で使われることは稀ですが、身体の柔軟性を奪い、呼吸を困難にさせる効果があります。

逆エビ固め(ボストンクラブ)

うつ伏せになった相手の両足を抱え、そのまま相手の体を「エビぞり」の逆方向に反らせる技です。腰と背骨に強烈な負荷がかかります。

片足だけを抱える「片逆エビ固め」や、より高い角度で腰を落として極めるなどのバリエーションも豊富です。新人のプロレスラーが最初に覚える必修科目のような技でありながら、トップ選手も愛用する奥深い技です。

4の字固め(フィギュア・フォー・レッグロック)

相手の足を使って数字の「4」の字を作り、膝関節と脛(すね)にダメージを与える技です。

攻めている側も自分の足を絡ませているため、ひっくり返されると逆に自分が痛くなるというユニークな特徴を持っています。見た目の華やかさと攻防のドラマが生まれやすいことから、プロレスのリングで長く愛されています。

※補足:スリーパーホールドについて
プロレスなどでよく見る「スリーパーホールド(裸絞め)」は、首を絞めて脳への血流を止める「絞め技(しめわざ)」に分類されます。関節を極める技とは厳密には異なりますが、広義のサブミッション(降参させる技)として扱われることが多いです。

関節技を安全に楽しむための注意点

関節技は強力な護身術であり、競技としての楽しさもありますが、一歩間違えば一生残る怪我につながります。以下の点を必ず理解しておきましょう。

「参った(タップ)」は恥ではない

練習や試合で技をかけられ、痛みを感じたり「もう逃げられない」と思ったりしたら、すぐに相手の体やマットを2回以上叩く「タップ」をしてください。

タップは「負け」の合図であると同時に、「ここで止めてくれ」という意思表示です。無理をして我慢すると、骨折や靭帯断裂などの大怪我をします。タップをすることは、自分の体を守り、長く競技を続けるための賢い判断であり、恥ずかしいことではありません。

練習時のマナーと怪我のリスク

技をかける側(攻める側)にもマナーがあります。練習(スパーリング)では、相手がタップしたら即座に技を解かなければなりません。

また、アドレナリンが出ていると力の加減がわからなくなりがちですが、関節技は「ゆっくり」極めるのが鉄則です。勢いよく一気に力を加えると、相手がタップする暇もなく関節を壊してしまう可能性があります。お互いの信頼関係があってこそ、関節技の練習は成り立ちます。

見様見真似は危険

YouTubeやテレビで見た技を、友人とふざけて試すのは絶対にやめましょう。プロや経験者は、人体の構造を熟知しており、「どこまでやれば痛いか」「どこからが危険か」を理解してコントロールしています。

素人が見様見真似で行うと、加減ができずに頸椎(首の骨)を損傷したり、肘を脱臼させたりする事故が多発しています。関節技を学びたい場合は、必ず柔道場や柔術ジムなど、指導者のいる適切な環境で習ってください。

関節技一覧から学ぶ奥深さと観戦の楽しみ方

代表的な関節技を一覧で紹介してきました。関節技は単なる「痛い技」ではなく、てこの原理や解剖学的な弱点を突いた、非常に論理的なテクニックです。

柔道の瞬発的な腕十字、ブラジリアン柔術の緻密な足関の攻防、プロレスの感情を揺さぶるストレッチ技など、それぞれの競技ごとに違った魅力があります。「今、どこの支点で、どこの関節を狙っているのか?」という視点を持つと、格闘技観戦はこれまで以上にスリリングで面白いものになるはずです。

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