「ジョシカク」という言葉を耳にしたことはあるでしょうか。これは女子格闘技の略称であり、近年、日本国内のみならず世界中で爆発的な盛り上がりを見せているジャンルです。
その日本の女子格闘技界において、中心的な役割を果たしているのが「DEEP JEWELS(ディープ・ジュエルス)」です。華やかなリング上の姿とは裏腹に、技術と執念がぶつかり合う激しい戦いは、一度見ると忘れられないインパクトを与えます。
この記事では、これから女子格闘技を観戦してみたい方に向けて、DEEP JEWELSの基礎知識から独自のルール、そして絶対に知っておきたい注目選手までを丁寧に解説していきます。
DEEP JEWELSの基礎知識:世界でも珍しい女子単独の総合格闘技イベント
まずは、DEEP JEWELSがどのような団体なのか、その成り立ちや特徴について見ていきましょう。男子の大会とは異なる、女子ならではの魅力や運営方針が存在します。
JEWELSからの歴史とDEEPとの関係
DEEP JEWELSの前身は、2008年に旗揚げされた「JEWELS」という女子総合格闘技団体です。当時、女子選手が輝ける舞台は限られており、女子だけの興行を定期的に開催することは非常に画期的な挑戦でした。
その後、2013年に運営体制が一新され、男子の総合格闘技団体として長い歴史を持つ「DEEP」の女子部門として再出発することになります。ここで名称が現在の「DEEP JEWELS」へと変更されました。
DEEP代表の佐伯繁氏が指揮を執るようになり、男子大会との連携が強化されました。これにより、選手の育成システムや試合の運営がよりプロフェッショナルなものへと進化し、現在の格闘技ブームを支える基盤が作られています。
女子格闘技「ジョシカク」ならではの魅力とは
DEEP JEWELSの最大の魅力は、「強さ」と「華やかさ」が同居している点です。出場選手の経歴は非常に多彩で、柔道やレスリングのエリートだけでなく、現役のアイドル、ママさんファイター、学生など、様々なバックグラウンドを持つ選手がリングに上がります。
入場時のコスチュームやパフォーマンスに個性が光る一方で、試合が始まれば一切の妥協がない真剣勝負が繰り広げられます。このギャップこそが、多くのファンを惹きつける要因となっています。
また、女子選手は男子に比べて体が柔らかい傾向にあるため、関節技の攻防が非常にスピーディーで複雑になることが多いのも特徴です。一瞬で形勢が逆転するスリリングな展開は、技術的な見応えも十分です。
RIZINや世界への登竜門としての役割
現在の日本の格闘技界において、DEEP JEWELSは「登竜門」としての重要な役割を担っています。年末にさいたまスーパーアリーナなどで開催される大型イベント「RIZIN」で活躍する女子選手の多くは、このDEEP JEWELSで実績を積んできました。
DEEP JEWELSのベルトを巻くことは、国内トップクラスの実力者であることの証明であり、そこからさらに世界の舞台やRIZINへと羽ばたくためのパスポートのような意味を持っています。
独自のルールや階級はどうなっている?観戦前に知りたい基礎データ
格闘技を見る上で、ルールや階級を知っておくことは非常に大切です。DEEP JEWELSは総合格闘技(MMA)ですが、女子選手の安全面や特性に配慮した独自の規定も存在します。
基本となるMMAルールと安全への配慮
基本的には、打撃、投げ技、寝技(グラウンド)のすべてが認められる総合格闘技ルールで行われます。試合場は、リングを使用する場合と、金網(ケージ)を使用する場合があり、大会の規模や会場によって異なります。
かつては顔面へのパウンド(寝ている相手へのパンチ)が禁止されていた時期もありましたが、現在は世界基準に合わせて解禁されています。ただし、プロ経験の浅い選手やアマチュア部門では、ヘッドギアの着用義務や、パウンド禁止といった安全ルールが適用されることもあります。
肘(ひじ)による攻撃については、タイトルマッチなどの主要な試合では認められることが一般的ですが、通常のワンマッチでは双方の合意が必要な場合もあるなど、選手のレベルに応じた柔軟な運用がなされています。
女子特有の軽量級を中心とした階級設定
男子の格闘技ではヘビー級やライト級といった重い階級が目立ちますが、女子選手が多い日本においては、軽量級がメインストリームです。DEEP JEWELSでは、以下のような階級が主に実施されています。
| 階級名 | 体重制限 |
|---|---|
| ミクロ級 | 44.0kg以下 |
| アトム級 | 47.6kg以下 |
| ストロー級 | 52.2kg以下 |
| フライ級 | 56.7kg以下 |
特にミクロ級(44.0kg以下)やアトム級(47.6kg以下)は、世界的に見ても非常に軽い階級であり、小柄な日本人選手が世界で活躍できるフィールドとして注目されています。体が軽い分、動きが非常に速く、目まぐるしい攻防が展開されます。
未来のスターを育てるアマチュア大会
DEEP JEWELSでは、プロ興行の前に「DEEP JEWELS AMATEUR」というアマチュア大会が行われることがよくあります。ここでは、これからプロを目指す練習生たちが経験を積む場所となっています。
アマチュア大会では、安全のためにレガース(すね当て)やヘッドギアを着用し、試合時間も短く設定されています。ここで好成績を収めた選手が本戦のオープニングファイトに抜擢され、やがてメインイベンターへと成長していくストーリーを見守るのも、ファンならではの楽しみ方です。
リングを華やかに彩る注目選手とスターたちの魅力

DEEP JEWELSを語る上で欠かせないのが、個性豊かな選手たちです。2024年から2025年にかけてのシーンを牽引する、知っておくべきファイターやその傾向を紹介します。
圧倒的な強さを誇る絶対女王たち
現在のDEEP JEWELSには、他団体の追随を許さない圧倒的な実力を持つチャンピオンたちが君臨しています。例えば、極小の巨人とも呼ばれるミクロ級・アトム級の実力者たちは、柔道やレスリングで培ったフィジカルを武器に、海外の強豪とも渡り合います。
彼女たちは単に強いだけでなく、試合後のマイクパフォーマンスやSNSでの発信にも力を入れており、ファンとの交流を大切にしています。チャンピオンクラスの試合は技術レベルが非常に高く、男子の格闘技ファンも唸らせる内容となることが多いです。
アイドルやタレント活動もこなす「戦うヒロイン」
DEEP JEWELSの大きな特徴の一つが、ビジュアルでも注目を集める選手の存在です。「美しすぎる格闘家」としてメディアに取り上げられる選手や、現役のアイドル活動と並行してリングに上がる選手もいます。
ケイト・ロータス選手などの活躍
モデル級のルックスを持ちながら、激しい殴り合いも辞さないファイトスタイルで人気を博す選手が増えています。見た目から入ったファンが、試合を見てその根性に心を掴まれるケースが後を絶ちません。
こうした選手たちは、格闘技を知らない層への入り口として非常に重要な役割を果たしており、彼女たちの成長ストーリーそのものがエンターテインメントとなっています。
次世代を担う10代・20代の若手ファイター
近年、急速に台頭しているのが10代後半から20代前半の「新世代」です。彼女たちは幼少期から柔道やレスリング、空手などを習っていたケースが多く、プロデビューした時点で既に高い完成度を持っていることが珍しくありません。
高校生ファイターとして制服姿で会見に登場し、試合ではベテラン選手を圧倒するといったジャイアントキリング(大番狂わせ)もDEEP JEWELSの醍醐味です。2025年現在も、次々と新しい才能が発掘されており、新陳代謝の激しさが大会の熱気を高めています。
実際に試合を観るには?チケット購入から視聴方法まで
DEEP JEWELSに興味を持ったら、ぜひ試合を観戦してみましょう。会場で生の迫力を感じるのも良いですし、自宅で配信を楽しむのもおすすめです。
会場で生の熱気を味わう!観戦ガイド
DEEP JEWELSの主な開催会場は、東京の竹芝にある「ニューピアホール」や、新宿にある「新宿FACE」などが中心です。これらの会場はアリーナ規模の大会場とは異なり、リングやケージと客席の距離が非常に近いのが特徴です。
打撃が当たる音や選手の息づかいまで聞こえる距離での観戦は、他では味わえない迫力があります。チケットは、「チケットぴあ」や「イープラス」、または格闘技専門のチケットサイト「TIGET」などで購入可能です。
人気の大会や良い席(VIP席やSRS席)は早めに売り切れることがあります。選手のSNSやDEEP公式サイトで発売日をチェックしておきましょう。
自宅でリアルタイム観戦!配信サービス
会場に行けない場合でも、スマートフォンやパソコンからリアルタイムで試合を楽しむことができます。DEEP JEWELSは、動画配信サービスと提携して生中継を行っています。
現在は主にU-NEXT(ユーネクスト)などの大手配信プラットフォームでライブ配信されることが一般的です。月額会員であれば追加料金なしで見放題となるケースも多く、手軽に観戦を始められます。
また、DEEP公式のYouTubeチャンネルでは、メンバーシップ限定での生配信が行われることもあります。解説や実況がついているため、初心者でも試合の展開が分かりやすく安心して楽しめます。
YouTubeで過去の試合や舞台裏をチェック
試合当日以外でも、YouTubeを活用すればDEEP JEWELSの世界に浸ることができます。DEEPの公式チャンネルでは、過去の名勝負や、試合前の選手のインタビュー動画、計量の様子などが公開されています。
特に試合前の「煽りV(紹介映像)」や、大会終了後のバックステージコメントを見ると、選手たちの人間ドラマや対戦にかける思いが深く理解でき、次の試合を見るのがさらに楽しみになります。まずは無料の動画からチェックしてみるのがおすすめです。
今後の展望とDEEP JEWELSが目指す女子格闘技の未来
設立から10年以上が経過し、DEEP JEWELSは新たなフェーズに入っています。最後に、これからの展望や、団体が目指している方向性について触れておきます。
世界的な女子MMAブームの中での立ち位置
アメリカのUFCをはじめ、世界中で女子格闘技の地位は向上し続けています。その中でDEEP JEWELSは、「世界最小・最軽量級」の層の厚さを武器に、独自のブランドを確立しようとしています。
海外の団体では新設されにくいミクロ級やアトム級の選手たちが、世界最高峰の技術を競い合う場所として、国際的にも注目を集め始めています。今後は海外選手との対抗戦なども増えていくことが予想されます。
新たなスター発掘と競技人口の拡大
DEEP JEWELSが力を入れているのが、競技人口の拡大です。アマチュア大会の定期開催はもちろん、ジムとの連携を強化し、格闘技を始める女性を増やす活動を行っています。
フィットネス感覚で格闘技を始めた女性が、やがてアマチュア大会に出場し、プロのリングを目指すという流れも生まれています。裾野が広がることで、よりレベルの高い選手が生まれ続ける好循環が期待されています。
ファンと共に創り上げるイベント空間
DEEP JEWELSは、ファンとの距離が近いことも魅力の一つです。SNSを通じた交流や、会場での一体感ある応援など、選手とファンが一緒になって大会を盛り上げる雰囲気が定着しています。
ただ強さを競うだけでなく、選手それぞれの「物語」を共有し、応援したくなる空間を作ること。これがDEEP JEWELSが長く愛され続けている理由であり、これからも変わらないテーマと言えるでしょう。
まとめ:DEEP JEWELSは強くて美しい女子格闘家たちの輝く舞台

DEEP JEWELSは、日本で唯一の女子選手による総合格闘技イベントとして、多くのドラマと熱狂を生み出し続けています。かつては珍しい存在だった女子格闘技も、今や世界に通用するトップアスリートたちが集う、ハイレベルな競技へと進化しました。
独自の軽量級階級が生み出すスピーディーな展開、アイドルや学生といった多彩なバックグラウンドを持つ選手たち、そしてリングを降りた時の笑顔と試合中の鬼気迫る表情のギャップ。これらすべてがDEEP JEWELSの大きな魅力です。
U-NEXTなどの配信サービスで気軽に視聴できる環境も整っています。少しでも興味を持った方は、ぜひ一度、彼女たちの戦いを目にしてみてください。きっと、その美しくも激しい戦う姿に心を動かされるはずです。



コメント