鈴木千裕戦績から紐解く強さ|RIZIN王座戴冠と激闘の歴史

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「稲妻」のような打撃で、見る者の心を一瞬にして奪うファイターがいます。その名は、鈴木千裕選手です。RIZINのリングで数々の衝撃的なKO劇を生み出し、世界的な強豪さえもマットに沈めてきた彼の戦いは、常に予測不可能です。

二刀流の挑戦、ベラトール王者からの大金星、そして涙の王座戴冠からリベンジを誓う現在まで。鈴木選手のこれまでの歩みは、まさにドラマそのものです。

この記事では、鈴木千裕選手の戦績を振り返りながら、なぜ彼がこれほどまでに人々を熱狂させるのか、その強さと魅力について詳しく解説していきます。

鈴木千裕の戦績データ:MMAとキックボクシングの二刀流

鈴木千裕選手の最大の特徴は、総合格闘技(MMA)とキックボクシングの両方でトップレベルの実績を残している「二刀流」であることです。まずは、彼の輝かしいキャリアを数字とデータで見ていきましょう。

総合格闘技(MMA)での公式戦績

鈴木選手は、伝統派空手をバックボーンに持ちながら、幼少期からMMAのトレーニングも積んできました。プロとしてのキャリアはパンクラスから始まり、その後RIZINへと主戦場を移しています。

【MMA戦績概要】(2025年11月時点)

合計試合数:約20戦以上

勝利:13勝

・KO/TKO勝ち:7回(高いKO率を誇ります)

・一本勝ち:1回(萩原京平戦でのリアネイキッドチョーク)

・判定勝ち:5回

敗北:6敗

・主な敗戦:クレベル・コイケ、昇侍など

無効試合:1回

・クレベル・コイケ戦(相手の体重超過による)

特筆すべきは、勝利した試合におけるフィニッシュ率の高さです。特に右ストレートやフックによるKOは、一撃で試合の流れを変える破壊力を秘めています。

キックボクシングでの圧倒的な強さ

MMAと並行して、鈴木選手はキックボクシングのリングでも活躍してきました。立ち技格闘技イベント「KNOCK OUT」では、圧倒的な攻撃力で王座を獲得しています。

キックボクシング戦績は13戦12勝1敗(※戦績は変動する可能性があります)という驚異的な勝率を誇り、その多くがKO勝利です。「KNOCK OUT-BLACK スーパーライト級王者」というタイトルは、彼の打撃技術がいかに専門的で高度であるかを証明しています。

獲得タイトルと主な実績

鈴木選手がこれまでに獲得した主要なタイトルは以下の通りです。これらは彼が日本の格闘技界でトップ選手であることを示しています。

タイトル名 備考
第5代RIZINフェザー級王者 アゼルバイジャン大会でヴガール・ケラモフをKOして獲得
初代KNOCK OUT-BLACK
スーパーライト級王者
キックボクシングルールでの戴冠
パンクラス ネオブラッド・トーナメント
フライ級優勝
2018年、若手時代の大きな実績

このように、軽量級(フライ級)から階級を上げ、現在のフェザー級(66.0kg)で肉体的にも技術的にも完成期を迎えています。

RIZINでの激闘史:デビューの挫折から頂点へ

鈴木千裕選手のRIZINでのキャリアは、決して順風満帆ではありませんでした。初参戦での手痛い敗北から始まり、そこから這い上がっていく姿がファンの心を掴んできました。

ほろ苦かったRIZINデビューと連勝街道

2021年9月、RIZIN初参戦となった昇侍戦。ファンは彼の豪快なKO勝利を期待していましたが、結果は開始わずか20秒でのTKO負けでした。不用意に飛び込んだところにカウンターを合わせられるという、若さゆえの敗北でした。

しかし、ここから鈴木選手の修正能力と精神力が光ります。続く山本空良戦で判定勝利を収めると、そこから連勝街道を突き進みます。敗北を糧にし、ただ殴り合うだけでなく、距離感やディフェンスを意識した戦い方へと進化していきました。

平本蓮や萩原京平とのライバル対決

RIZINフェザー級戦線で特に注目を集めたのが、同世代のライバルたちとの対戦です。

2022年3月に行われた平本蓮戦では、打撃戦が予想される中で激しい打ち合いを制し、判定勝利を収めました。この試合では、鈴木選手の手の甲が骨折していたことが後に明かされ、その精神力の強さに驚きの声が上がりました。

また、同年9月の萩原京平戦では、ストライカー同士の対戦でありながら、2ラウンドにリアネイキッドチョーク(裸絞め)を極めて一本勝ちしました。

【用語解説】リアネイキッドチョーク
背後から相手の首に腕を回して絞め上げる技。打撃が得意な鈴木選手が、この技で勝利したことは、彼のMMAファイターとしての成長を強く印象づけました。

これらの勝利により、鈴木選手は単なる「勢いのある若手」から「タイトル戦線に絡む実力者」へと評価を変えていきました。

クレベル・コイケとの最初の因縁

連勝を重ねた鈴木選手は、2023年6月、当時の王者クレベル・コイケへの挑戦権を手にします。しかし、この試合は波乱の幕開けとなりました。

前日計量でクレベル選手が体重超過を犯し、王座を剥奪されたのです。試合は「鈴木選手が勝った場合のみ王座獲得」という変則ルールで行われました。

結果は1ラウンド、クレベル選手の得意とする寝技に捕まり一本負け(公式記録は無効試合)。体重超過があったとはいえ、圧倒的なグラウンド技術の差を見せつけられ、鈴木選手は悔し涙を流しました。この挫折が、後の大躍進への起爆剤となります。

世界を震撼させたジャイアントキリングと王座奪取

クレベル戦での悔しい結果からわずか1ヶ月後、鈴木千裕選手に訪れたのは、格闘技人生を大きく変えるビッグチャンスでした。ここからの2試合は、日本の格闘技史に残る衝撃的な瞬間となりました。

ベラトール王者パトリシオ・ピットブルをKO

2023年7月の「超RIZIN.2」。当初予定されていた選手の欠場により、鈴木選手に緊急オファーが舞い込みます。対戦相手は、アメリカのメジャー団体ベラトール(Bellator)の絶対王者であり、世界最強の一角と目されるパトリシオ・ピットブル選手でした。

準備期間はわずか数日。誰もが「無謀な挑戦」「勝てるはずがない」と思う中、鈴木選手だけは勝利を信じていました。

試合開始直後から臆することなく攻め込んだ鈴木選手は、1ラウンド中盤、パトリシオ選手の攻撃をかわして強烈な右ストレートを一閃。世界王者が崩れ落ちる姿に、さいたまスーパーアリーナは大爆発しました。

「稲妻落としてやったぜ!」という勝利のマイクパフォーマンスは、彼の代名詞となりました。

アゼルバイジャンでケラモフを撃破し王座へ

パトリシオ戦の勝利により、鈴木選手は再びタイトル挑戦の切符を手にします。2023年11月、敵地アゼルバイジャンで行われた「RIZIN LANDMARK 7」。相手は、朝倉未来選手を圧倒して王者になったばかりのヴガール・ケラモフ選手です。

フィジカルモンスターと呼ばれるケラモフ選手に対し、鈴木選手は序盤でテイクダウンを奪われ、下のポジションになります。絶体絶命のピンチかと思われましたが、ここで鈴木選手は下からの踵(かかと)落としを見舞い、相手が怯んだ隙に強烈なパンチを連打。

まさかの失神KO勝利で、第5代RIZINフェザー級王者のベルトを腰に巻きました。不利な体勢からの一発逆転劇は、彼の持つ「何かを持っている」カリスマ性を証明しました。

金原正徳を粉砕した初防衛戦

王者として迎えた初防衛戦は、2024年4月の「RIZIN.46」。相手はベテランの金原正徳選手でした。金原選手は直前の試合でクレベル選手を完封しており、技術的には「金原有利」の声も多く聞かれました。

しかし、鈴木選手はここでも進化を見せつけます。金原選手の老獪なテクニックに付き合わず、自身の距離でプレッシャーをかけ続けると、1ラウンドに強烈なパンチの連打でTKO勝利。世代交代を完了させるとともに、王者としての強さを盤石なものにしました。

鈴木千裕のファイトスタイルと強さの理由

なぜ鈴木千裕選手は、これほどまでにKOを量産できるのでしょうか。また、寝技の弱点と言われた過去をどう克服したのでしょうか。

常識外れの「ぶん殴る」打撃技術

鈴木選手の打撃は、教科書通りではありません。大きく腕を振るフックや、独特のリズムから放たれるストレートは、相手にとって非常に見切りにくい軌道を描きます。

彼はかつて、自身のパンチを「ママさんバレーのアタックのような動き」や独自のイメージで語ったことがありますが、これは全身のバネを使った、彼にしかできない身体操作です。この予備動作の少ない、あるいは予測できないタイミングでの強打が、多くの対戦相手をマットに沈めてきました。

進化を遂げたテイクダウンディフェンス

キャリア初期の課題は、明らかに「寝技」と「テイクダウン(倒されること)への対処」でした。しかし、王座戴冠に至る過程で、この防御能力が飛躍的に向上しました。

【強さのポイント】スクランブル能力
完全に倒されて押さえ込まれる前に、瞬時に反応して立ち上がる、あるいは体勢を入れ替える能力のこと。ケラモフ戦での勝利は、倒された直後の冷静な判断と、下からでも攻撃できるこの能力があったからこそ生まれました。

倒されてもすぐに立つ、あるいは倒される際のリスク管理ができるようになったことで、彼の最大の武器である「打撃」を振るう時間が増え、結果として勝率が安定したのです。

「有言実行」の稲妻メンタル

技術以上に彼を支えているのが、強靭なメンタルです。「絶対に勝つ」「KOする」と公言し、自らにプレッシャーをかけた上で、それを実行に移す力があります。

緊急オファーを受けたパトリシオ戦や、完全アウェーだったアゼルバイジャンでのケラモフ戦など、逆境であればあるほど力を発揮する勝負強さは、天性のものと言えるでしょう。

クレベル・コイケとの再戦と現在の立ち位置

王者として君臨した鈴木選手ですが、避けては通れない大きな壁が再び立ちはだかりました。それが、因縁の相手クレベル・コイケ選手との再戦です。

2024年大晦日、王座陥落の悪夢

2024年の大晦日に行われた「RIZIN.49」。鈴木選手は王者として、最強の挑戦者クレベル・コイケ選手を迎え撃ちました。ファンが待ち望んだ完全決着の時です。

試合は、鈴木選手が打撃でプレッシャーをかける場面もありましたが、クレベル選手の執拗な組みと寝技地獄に捕まる展開となりました。1戦目のような速攻のフィニッシュこそ許さなかったものの、3ラウンドを通じてグラウンドでコントロールされ続け、判定0-3での敗北。

この敗戦により、鈴木選手は王座を失い、クレベル選手が再び王者に返り咲きました。

再起への期待と今後の展望

現在(2025年11月時点)、鈴木千裕選手は「前王者」として、再び頂点を目指す立場にあります。

【ファンの期待する今後の展開】
・クレベル・コイケとの3度目の決着戦(トリロジー)
・海外団体への再挑戦や対抗戦
・階級変更や新たなライバルとのスーパーファイト

クレベル選手という明確な壁があることで、鈴木選手のモチベーションはさらに燃え上がっているはずです。寝技のスペシャリストをどう攻略するか、打撃を当てるための「いなし」や「ステップ」をどう進化させるか。次なる戦いは、ファイターとしての完成度をさらに高めた姿が見られることでしょう。

まとめ:鈴木千裕戦績から見る未来への期待

鈴木千裕選手の戦績について解説してきましたが、いかがでしたでしょうか。彼のキャリアは、勝利の数以上に、その勝ち方のインパクトと敗北からの立ち直りによって彩られています。

【記事の要点】

・MMAとキックボクシングの両方で王座を獲得した稀有な二刀流ファイター。

・RIZIN初期の敗北を乗り越え、パトリシオ・ピットブルやケラモフといった世界強豪をKOして頂点に立った。

・2024年大晦日にクレベル・コイケに敗れ王座を失うも、その闘志は消えていない。

・「稲妻」のような一撃必殺の打撃と、有言実行のメンタルが最大の武器。

現在は王座奪還を目指すチャレンジャーの立場に戻りましたが、鈴木千裕というファイターの物語はここで終わりではありません。「負けた時こそ強くなる」ことを過去の実績で証明してきた彼が、次にリングへ上がる時、また新たな稲妻を落としてくれることは間違いないでしょう。

これからも進化し続ける鈴木千裕選手の戦績と、次なる一戦にぜひ注目してください。

 

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